【完】こちら王宮学園生徒会執行部
「何の用だよ」
うっわ、不機嫌……
もしかしていくみか?とその様子を伺っていれば、薄らと漏れ聞こえてくる声のテンションに聞き覚えがあった。……なるほど。
「リナだろ?」
「喚いててうるせえ……」
リナはいつみのこと大好きだからな……
口ではこう言いつつも、一応世話になった先輩ってこともあって、邪険にはできないらしい。
「しつけえよ。
会わせねえって言ってんだろうが」
……ああ、まだその話続いてたのか。
リナの諦めの悪さを知ってんだから、さっさと会わせてやれば良いのに。
「あ? なんでお前知って……」
いつみが、「常連?」と眉を顰める。
唐突にピリッと空気が張り詰めるが、話している内容までは聞き取れない。
「お前、俺が普段どれだけの患者の情報に目ぇ通してると思ってんだ……
敷島……? んなの今回のことは何も、」
敷島?
「敷島って……あれじゃねえの?
ルノの、婚約者だった女の名字、」
ぽつっと。
口に出せば、一瞬いつみが俺に視線を寄越す。それから「そういうことか」と呟いて、二言、三言交わしてから電話を終えた。
……"そういうことか"?