【完】こちら王宮学園生徒会執行部
「南々瀬の名前を確認してきやがった。
お前が勝手に教えたんだろ。店で、同じような名前を聞いて引っかかったから連絡してきたらしい。……同じような、じゃ、なかったけどな」
「……店? リナの?」
「ああ、」
「………」
ネオン街には、すこし前まで巨大なキャバクラとホストクラブが存在した。
キャバは『Tiara』、ホストは『Bell』。
その街で生きる人間じゃなくとも知っているその店は、元々この国に存在するヤクザの人間が経営していて。
少し前に、そのネオン街の2大店が潰れた。
そしてその跡地を買収し、新たに店を作ったのがリナだ。
『ask』という名前の店は、キャバクラ、ホストクラブ、そしてニューハーフが店員のパブの3店が連なった造りになっている。
どういうわけか、売れ行きは好調らしい。
しかし、そのリナの店で南々瀬ちゃんの名前が出るのはおかしい。
だってどの店で話題に上がったにせよ、未成年とは何の縁もない。
南々瀬ちゃんがそんな裏の店と関わるわけがないし、そもそもあの子がネオン街に近寄ることを、いつみが許すはずがない。
「キャバの常連に、敷島っつう男がいて、」
「………」
「『娘の婚約者を奪われたから、行方を捜してる』って情報の提供を求めてるらしい。
……どうも、娘の方がルノのことを気に入ってたとかでな」
「汚ねえやり口だな……」
娘がルノを気に入っていたかはさておき、南々瀬ちゃんの居場所くらい簡単に特定できるはずだ。なんせ向こうは政界の人間。
なら。……本当は、何を、捜してる?