【完】こちら王宮学園生徒会執行部
「近いうちに店に顔出してくる」
「へえ。……キャバのオネーさんたちが片っ端からお前に寄ってきそうだな」
「馬鹿か。南々瀬を連れてくんだよ」
ちょっと待って前言撤回。
18年の幼なじみに向かって「馬鹿」とか吐き捨てる幼なじみについていくの嫌だわ俺。こんな横暴すぎるご主人様には付き合っていけねえわ。
「リナに会わせる気になった?」
「んなわけねえだろ。
リナがいまの情報の提供料として南々瀬連れてこいって言い出しただけだ。……それに」
テーブルの上に肘をつき、組んだ手の上に顎を乗せているいつみ。
幼い頃から、ずっと、そうだった。
「南々瀬も薄々気づいてんなら、変に隠して裏でコソコソやっても怪しいだけだろ。
あいつの眼の前で確認したほうが良い」
「……南々瀬ちゃんが傷つく可能性は?」
「五分五分」
すぐさま返ってきた、決して安全とは言えない答えに目を見張る。
すこしでも南々瀬ちゃんが傷つく可能性があるなら、いつみは彼女に知らせずに絶対的に護る方法を考えると思ったからだ。
そして、"変わった"ことに気づく。
「……結婚決まったのか」
ぽつり。
俺のつぶやきに、いつみは綺麗な表情で笑った。