【完】こちら王宮学園生徒会執行部

・s








「えっ、社長……!?」



ランチで賑わうカフェの中に、みさとの声が響く。

その拍子に視線を多数集めたことで、彼女ははっとしたように「すみません」の意味を込めてまわりに会釈した。



「社長って、あの社長でしょ……?」



……『あの社長』?

みさとの中で何が『あの』なのかは、長年の付き合いであるわたしにもわからないけれど。



「たぶん、

みさとが考えてる社長で間違いないと思うわよ」



そう告げて、くるくるとフォークにパスタを巻きつける。

ゴールデンウィークも明日で終わり。明日はいつみと映画に行く予定だから、つまりはデートだ。



昨日は年明け以来、ひさしぶりに両親と顔を合わせてランチに行った。

今日はみさととこうやって遊びに来ているし、なかなか充実したゴールデンウィークを過ごせていると思う。




いまはちょうど12時過ぎで、ウィンドウショッピングを一時中断してのランチタイム。

8プロの社長にならないかと誘われた話をすれば、彼女は驚愕で目を見張った。



「え、じゃあ、南々瀬進学しないの?」



「ううん、するつもり」



まあやりたいことがあるから進学するわけではなく、ひとまず大学卒業という資格がほしいなあ、程度なのだけれど。

いつみにも、「好きにすればいい」と言われているし。



「……?」



「みさと、分かってないでしょ」



わたしの発言に対して頭の上にはてなを浮かべているみさとに尋ねれば、彼女は「だって」とくちびるを尖らせる。

全然関係のない話だけれど、最近のみさとは前以上にかわいい。



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