【完】こちら王宮学園生徒会執行部



言われなくても大和の影響だってことはわかる。

それをネタにして揶揄っていたら、「南々瀬だって綺麗になったの珠王先輩の影響でしょ!?」と、逆に揶揄われてしまったけど。



「いまの大学生、結構多いのよ。

大学に通いながら、仕事してる人」



「……たとえば?」



「それこそ起業して社長になってる人もいるし、ネットでライターとして活動してる人がいたりするわよ。

……まあ、さすがに8プロほど大きくて名の知れた企業っていうのは、めずらしいだろうけど」



形は違えど、いつみだって大学に通いながら仕事しているわけだし。

最近はよく病院にも顔を出しているようで、はやくも病院内で色々と人間関係を築いているらしい。



「つまり……

南々瀬もそんな感じで、大学に通いながら社長になるってこと……?」



本当に驚いているようで、彼女の手は中途半端にパスタを巻きつけたところで止まっている。

それを見つめながら口に運んだパスタを食べ終え、「それがね」と話を続ければ。




ようやくみさとも動き出して、混ぜなおしたパスタをフォークに巻いた。

わたしのは芽キャベツのペペロンチーノで、みさとのはベーコンがたっぷり入ったカルボナーラ。



「まだ返事してないの」



「……社長になるって?」



「うん。簡単に決められないでしょ」



何かあったときに責任を取らなきゃいけない役職には、つきたくない。

そう言ったわたしに対して、彼はなんとも言えないような曖昧な表情を浮かべて。



「お前は自己犠牲心が強すぎる」と。

あきれたように口にしたいつみの言葉の意味を、誰よりもわたし自身が理解していた。



「たしかに8プロなんて大企業の社長をいきなり任されることになったら、びっくりするけど……

わたしは単純だから、やりたいなぁって思っちゃうよ」



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