【完】こちら王宮学園生徒会執行部



何かと考え過ぎてしまうわたしと、物事を考えることに対して無理をしないみさと。

足して割ればちょうどいいのに、そういうわけにはいかない。



だからこそ、わたしはみさとに話そうと思ったのかもしれない。

彼女ならこういうときにどうやって現状を脱するのか、知りたくて。



「あ、そうそう。

わたし、結婚することになったんだけど」



「……!?」



「え、みさとだいじょうぶ?」



げほっと咽せたみさとに、水の入ったグラスを差し出す。

ふるふると首を横に振って胸元を軽くおさえた彼女は息を整えなおし、「いつ?」と涙目でわたしを見た。



手元無沙汰になってしまったから、一度手に持ったグラスに口をつけて。

水を飲んでから、「卒業したあと」と質問に答える。




「卒業してすぐ?」



「うん、その予定」



昨日両親とランチに行った際、珠王家のご両親とも顔を合わせたことを話した。

その上で、結婚のことを伝えてみたら。



「3月に結婚するんでしょう?

いまさら言わなくても、知ってるわよ?」



そう言われてしまい、慌てて事情を聞いた。

どうやらわたしの知らないうちに、いつみが両親に直接会って、その話を進めていたらしい。



「後日、南々瀬と一緒にもう一回挨拶に来てくれるって言うから、ママ楽しみにしてるのよ〜」とも言われてしまったし。

あっさりと、結婚が決まってしまった。



……あ、"決まってしまった"って言うと、なんだか嫌がっているように聞こえるけど。

決してそういうわけではなくて、想像以上に話がスムーズに進んでいるからびっくりしているだけ。



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