【完】こちら王宮学園生徒会執行部



「南々瀬もついに人妻かぁ……」



「……ねえ。

その言い方、なんか嫌なんだけど」



たしかに結婚したら人妻になるけど。

どうも納得のいかない響きに顔を顰めると、彼女はけらけら笑って「新妻だね」と言い直してくれた。



……新妻もどうかと思うけど、人妻よりはマシだ。

おめでとうと言ってくれる彼女に、ありがとうと笑みを返せば。



「じゃあ一足先にお祝い買いに行こう!

あ、わたしが個人的に押し付けたいだけのプレゼントだからね!遠慮しないでよ!」



「……押し付けたいって」



テンションを上げるみさと。

ほかに言い方あったでしょと苦笑したけれど、みさとが楽しそうなら何よりだ。




っていうか、何やら笑みが不敵なんですけど。

いったい何を企んでいるんだと、訝るわたしを。



「お祝いだからちゃんと受け取ってね?」



「………」



有無を言わせずランチ後に彼女が連れてきたのは、まさかのランジェリーショップ。

もう既に嫌な予感しかしないと思っていれば、奥に進んだみさとが手に取ったのは。



「……ベビードール?」



セクシーでもなんでもなく、普通にかわいいデザインのベビードールだった。

白地のフリルとピンクのリボンが可愛らしくて、下着、というよりは、かわいい寝巻き。



どちらかというとわたしが自分で選んで買うようなデザインではないけれど、かわいいもの好きだから抵抗はない。

そう思ってお祝いと称されたそれを受け取ったけれど。……後悔したのは、実際に着たあとだった。



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