【完】こちら王宮学園生徒会執行部



せっかくだからと、その日のお風呂上がり。

着てみたのは、いいんだけど。



「な、っ……」



丈が……! 丈が短い……!

ギリギリ下着は隠れる長さだけど、太ももがほとんど露出しちゃってるんですけど……!



いますぐ着替えたい。

でもこれ一枚で良いや、なんて思ってしまったせいで、脱衣所にはほかの着替えを持ってきていない。



しかも着替えを取りに行くなら、一度この格好もしくはバスタオル姿でここを出なきゃいけないわけで。

いつみに気づかれるかもしれないとなれば、緊急事態だ。



「南々瀬? 大丈夫か?」



しかもお風呂から上がったのに、なかなか脱衣所から出ないわたしを、彼が心配してくれているという悲劇。

……やだもう、なにこれ罰ゲーム?




「あの、いつみ……」



ひょこっと。

扉から顔だけ出せば、彼は不思議そうに首をかしげる。見えていないのに自分の格好が格好だから、めちゃくちゃ恥ずかしい。



「部屋から、ワンピース取ってきてもらっても良い……?

あの、わたしが寝巻きに着てるやつ……」



「……着替え持ってくるの忘れたのか」



いや、そういうわけではないのだけれど。

コレの話をできるわけでもなく、曖昧にへらりと笑って誤魔化せば。「それならはやく言え」と呆れられてしまった。



「湯冷めしてるだろ。

取ってきてやるから、もう一回あたたまってこい」



そう言われて、ごめんねと謝って身につけたものを脱いでから、一度お風呂へと引っ込む。

浴槽に浸かって身体をあたためなおしていればかちゃりと音がして、「ここに置いとくぞ」といつみの声が聞こえてきた。



< 130 / 276 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop