【完】こちら王宮学園生徒会執行部
……だからといって。
「着替えてこいよ、南々瀬」
「嫌なんだけど……っ!」
それとこれとは別問題である。
ふるふると首を横に振って拒むわたしに、「じゃあなんで持ってるんだ」と彼は不思議そうな顔をしているけれど。
「みさとが、結婚祝いでプレゼントだって……」
「ふぅん?」
てっきりなんだか刺激的なものを用意されると身構えていたせいで、ベビードールを差し出された時に、丈の短さにまで気がまわらなかった。
だけど、いくらなんでもあの露出は無理です……!
「せっかくのプレゼントなのに、着なくて良いのか?」
「さ、さっき試着したから」
「でも"結婚祝い"なんだろ?」
どんどん追い詰められて、熱くなっていく。
言われなくてもわかるほど赤い頬を撫でられて、余計なことを言いそうになる。
いっそ「着て欲しい」って言ってくれたら、はずかしいけど、開き直って着るのに。
わたしが恥ずかしがる様子をあえて楽しんでいるからタチが悪い。
「……まあ。
そこまで嫌だって言うなら、着なくて良いけど」
どうやって逃がしてもらおうかと、頭の中でぐるぐると逡巡する。
その拍子にあっさりといつみが引いたせいで、「わかったわよ」とつい口走ってしまった。