【完】こちら王宮学園生徒会執行部
「ばかじゃないの……!?」
脱衣所に引き下がって、思わず自分を蔑む。
押してだめなら引いてみろ、の手法に、ここまでわかりやすく引っかかるのもわたしくらいだろう。
ちなみに「着替えなかったら問答無用で脱がす」と脅しをかけられたせいで、わたしに残されている選択肢はただ一つ。
……いや、もう。
本当にどうしてくれるの、みさとさん。
「うー……」
仕方なくワンピースから着替え直してみたけれど、丈が短すぎて落ち着かない。
その場でしゃがみこんで、どうしようかと真っ赤になったまま考えていれば。
かちゃっと扉の開く音がして、思わず顔を上げた。
「いつまでそうしてるんだよ」
「ちょ、っ……」
普通に入ってきたんですけどこの人……!
いくら恋人同士だからって、一応そのあたりのことは考えて欲しいんですけど……っ!
「や、ちょっと待って……っ。
お願いだから待って、ほんとに無理だから、」
「何も無理じゃねえだろ」
「わたしの精神的にむりなんですけど……!?」
見下ろされているだけなのに、羞恥が全身に広がる。
そんなわたしと目を合わすように屈んだいつみが「南々瀬」とわたしを呼ぶから、どうしていいのかわからなくなって。