【完】こちら王宮学園生徒会執行部
ちょっと離れたところに並んでいる建物。
その外観が豪華だったりするから何だろうとじっとそっちを見つめていれば、彼がふっと笑う。
「あのあたりはホテル街だぞ」
「……ホテル街?」
「まあお前には縁のない話だよ。
行きたいって言うなら連れて行ってやるけどな」
……縁のない話なのに、行きたいって言ったら連れて行ってくれるの?
なにその矛盾、と首をかしげる。
「ラブホテル」
それでも理解できなかったわたしの胸中を悟ってくれたらしい。
教えてくれた彼の言葉を、頭の中で嚙み砕く。それを頭で気づくより先に、かっと頰が赤く染まったのがわかった。
「行きたくないから……っ!」
「そんなに否定することもねえだろ。
最近じゃ女子会なんかも流行ってるらしいぞ」
「!?」
「そんなゴテゴテした感じのところばっかりじゃねえしな。
綺麗なところも多いし、写真だけ見せられたらお前も普通に行きたいって言うんじゃねえか?」
そんなこと言われても。
……っていうか、ちょっと待っていつみさん。
「……なんか、詳しくない?」
仮に。仮にだ。男同士で「行ってきたんだけど〜」って話を共有していたとしても。
女子会で流行ってるとか、綺麗なところも多いとか、そんなの話題に出る?