【完】こちら王宮学園生徒会執行部
「、」
ぴたり。
彼の動きが突然止まって、じいっとわたしを見つめてきたかと思うと。その瞳が、みるみるうちに潤んでいく。……え、なんで涙目!?
「ひどいよ南々瀬……」
「はい……?」
「僕の気持ち知ってるくせに、」
するり。
絡められた指に輝くのは、いつみがくれた指輪。
……ああ、茉文は知らないんだった。
別に言わなきゃいけない相手ってわけじゃないから、報告する理由なんてないんだけど。
「わたし付き合ってる人いるから」
「……いつ?」
「一応……11月から」
「まだ半年しか経ってないじゃん。
それなら大丈夫だよ、僕のところにおいで」
「大丈夫じゃないのは貴方の頭だから。
もう一緒に住んでるし、卒業したら結婚することにもなってる。……っていうか、そもそもわたし茉文とは絶対付き合わないから」
どうしてそんなにもポジティブ思考でいられるのか。
茉文の相手をしているだけで、本当に頭が痛い。
「なんで? 南々瀬僕のこと好きでしょ?」