【完】こちら王宮学園生徒会執行部
・Good bye, ××
◆ Side夕帆
いつみのスマホが着信を知らせたのは、ちょうど講義と講義の間にある休憩時間だった。
液晶にちらりと視線を落としたいつみは、一瞬不思議そうな顔をしてから耳にスマホを当てる。
「南々瀬? どうした?」
……ああ、南々瀬ちゃんだったのか。
「今日? ああ、別に構わないが……」
ちらりと、いつみが手帳に視線を寄越す。
それから「明日も平日だけど大丈夫か?」と、彼女に対して心底優しい問いかけ。
「わかった。
俺のことは気にしなくていいから、楽しんで来い」
知ってたけど、俺やいくみに対する電話での態度はまったく違うな。
……なんて思いながら、電話を終えたいつみに「なんだった?」と聞けば。
「ダチの家に泊まっていいか連絡してきた」
「南々瀬ちゃんも気遣ってんじゃねえの?
お前と一緒に住んでるから、女友達の家にも泊まりに行くの許可いるとか」
「……だから良いって言っただろ」
荷物を纏めて、次の講義のために移動する。
その途中で、ふいにいつみが「でも、」と言葉を落とした。
「……腑に落ちねえな」
「はあ? 相手は女友達だろ?
それぐらい許容してやらねえとか心せま、」
「違ぇよ。なんとなく不自然だと思っただけだ」