【完】こちら王宮学園生徒会執行部
……不自然? 何が?
「南々瀬はメッセージのやり取りで済ませるから電話してくること少ねぇんだよ。
それにこの時間、まだ王学は授業中だろ」
「外泊だから文字で済ませんの悪いと思って電話してきたんだろ?
それにどうせ今年度も役員は授業サボってんだから、いつ掛けてきてもおかしくねえじゃん」
「ダチは普通に授業受けてるだろ?」
「……だから、友達と先に約束してたんじゃねえの?
それをお前の講義の休憩時間狙って連絡してきてくれたんだろ?」
「……そうだな」
気遣いのできる良い子じゃねえか、と。
思う俺とは違って、いつみは「そうだ」と言いつつ納得していないらしい。……何が納得できないのやら。
「……まあいい」
「はあ。
……んじゃあ、彼女が泊まりに行くいつみくんが悲しくないように夕飯付き合ってやろうじゃねえか」
「ひとりでメシぐらい食える」
「飯付き合えって言ってんだよ分かれよ」
「……仕方ねえな」
そんな実りのないやり取りをしている俺らが。
いつみの"不自然"という言葉が嘘じゃなかったことに気づくのは、もうすこしあと。
約束通り、夕飯は外食で済ませて。
仕事を手伝ってやるからと、半ば強引にいつみと彼女が住む部屋に押しかけてからだった。