【完】こちら王宮学園生徒会執行部
「その場に合わせてちゃんと呼ぶわよ」
わいわいと勝手に盛り上がるまわりを他所に、そう話を終わらせる。
でも誰も聞いてないわね、とため息をついていたら。
「前から気になってたんだけど、」
ぽつり、口を開いたのはルノで。
彼のくだけたその口調に、声を投げられたのは下級生の誰かだな、と思う。
別にタメ口で話したって文句は言わないけど、ルノはわたしたち3年組に敬語だ。
呉羽も、はじめはわたしに対して敬語で話してくれていた。
だけど椛とは兄弟なんだから当然タメ口で話しているし、莉央ともなんだかんだ仲が良いようでタメ口だ。
それを見て、わたしから「タメで良いわよ」と言った。
だから彼も、わたしには敬語を使わず話す。
ルアと夕陽は元から誰に対してもタメ口だし、わたしが敬語を使う対象がいなくなったのもあって、今年はみんなフラットだと思う。
「夕陽の『NANA』って芸名。
あれ結局、南々先輩の名前からとってるの?」
「……そうだけど。
あと、ラッキーセブンって意味で数字の『7』ともかかってるけどね」
「ふぅん。南々先輩のことだいすきだね」
そしてこれはわたしが密かに思っていることだが、おそらくルノと夕陽は仲が悪い。
声を上げるような喧嘩はしないけど、なんとなくバチバチしてる。
「だったらなに?」
ムッと、綺麗な顔をゆがめる夕陽。
役者を目指している割には、まったくもって隠すことのない嫌そうな顔。
……どうして仲が悪いんだろうか。
あとでタイミングあれば誰かに聞いてみようかな。