【完】こちら王宮学園生徒会執行部
書類の数値を確認してパソコンの電卓機能を駆使し、パーセンテージを算出する。
出た結果をパソコンに打ち込む、という、地味だけど面倒な作業を続けること数十分。
ピンポーン、と。
来客を知らせるベルが鳴って、いつみが手を止めた。
「出てくる」と一度玄関に向かったいつみ。
誰かと思えば、引き返してきたいつみの後ろにいたのは現役の生徒会役員で。
「……お前らどしたの?」
そこに、南々瀬ちゃんの姿はない。
……泊まりに行くって言ってたからな。
「……、南々先輩いないんですか?」
ルノの問いかけに、一瞬首をかしげる。
南々瀬ちゃんのことを尋ねてきたのか。でもアポなしで押しかけるわけないだろうし。
「南々瀬ならダチの家に泊まりに行ってる。
今日は帰ってこねえっつってたけど、南々瀬に用事があったのか?」
「いっちゃん。……たぶん、それ嘘だよ」
ピシッと一瞬で空気が張り詰めた。
……嘘? 嘘ってなんだ。
「どういうことだ?」
「それが……」
口止めされてるんだけど、と。
椛が前置きして話してくれたのは、15年前のあのセレモニーのこと。"柴崎茉文"という男の存在と、"もうひとつの案"。──そして。
「南々ちゃんが。
……今度は"人質"になった彼のために、」