【完】こちら王宮学園生徒会執行部

・HERO








スマホが、着信を受けて震える。

シンとしていた中で突如響いたそれに、ビクッと肩が跳ねた。けれど液晶に表示された名前を見て、そんなことはすぐに頭から飛ぶ。



「いつみ先輩ですか?」



放課後になる少し前に学校からここへやってきたみんなも、電話に注目する。

「そう」と言いながらすぐに応答して、スピーカーに切り替えた。



『もしもし。南々瀬?』



落ち着きのある、彼の声。

それを聞いただけでもう、泣きそうだった。



「いつみ……」



婚姻届を見たとき、頭の中が真っ白になった。

彼への気持ちは封印して茉文のために尽くそうって思ったのに、いつみへの気持ちが途方もなく膨らんで。……泣くななんて、無理だった。




『テレビつけられるか?』



「テレビ……?」



現実を受け止めるのがひどく怖いけれど、いつみの指示に素直に従う。

液晶テレビの電源を入れればゴールデンタイムだと言うのに、どのチャンネルも『速報』と称されたニュースが流れていて、思わず目を見張る。



「これ……」



見出しは、『政界官僚、続々と今後逮捕か』の文字。

流れていく動画の中には一連の件に関する政界の人間にマスコミが押し寄せるような様子もいくつかあった。……でも、状況が理解できない。



「まさかこれ、いっくんがやったの?」



何も聞けないでいるわたしの代わりに、呉羽が聞いてくれる。

その問いを受けた彼は、「そういうことだな」と落ち着き払って答えた。



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