【完】こちら王宮学園生徒会執行部
意味がないとはどういうことなのか。
マスコミが喰いついてことが大きくなれば警察は動かざるを得ないし、世間はいずれその話題に溢れ返る。
『もう巻き込まれるのは御免だろ』
ぽつり。
落とされた声が、部屋に、やけに響いた気がした。
『これ以上、お前を危険な目に遭わせたくない』
……ああ、やっぱり、わたし。
『だから直接政界の人間と取引した。
ただし、前回の件で南々瀬に二度と関わらない約束をしておきながら破った分、警察とマスコミにも情報を流して、』
どうしようもなくこの人が好きだ。
『今回は、随分と卑怯なやり方で取引した。
……そのせいで成功するかは微妙なところだったが、ルノのツテがあったおかげで警察の上層部に直接連絡できた分、助かった』
「いきなり警察にツテがないかって連絡が来たときは驚きましたけどね。
八王子がもともと警察組織から派生しているので出来たことですよ」
『ああ、わかってる。ありがとう』
「ねえねえいっちゃん、今どこにいんの〜?
そういや俺ら晩飯もまだだしさぁ、はやく帰ってこいよ〜」
「そーそー。
夕陽、わざわざ南々瀬が心配だからって仕事のスケジュール調整してもらったみたいだしな」
「……莉央余計なこと言わないでくれる」
和やかな雰囲気で、ぽんぽんと会話が飛び交う。
だけどわたしはただひとり、ずっと、何も言えなくて。