【完】こちら王宮学園生徒会執行部



「南々瀬ちゃん、何言って……」



「今回のことで解決したかもしれない。

逮捕されたら少なからず安全な時間はできるし、あなたのことだからきっとこれから逮捕されていく官僚はみんな、あの計画の中心人物ばかりなんでしょうけど、」



くちびるを噛む。

ぽろっとこぼれた涙が、彼の手に落ちた。



「これ以上、いつみを巻き込みたくない……」



いつみだけじゃない。みんなのことも、だ。

珠王や八王子といった家に生まれている彼らは関わることがあるかもしれないが、それでもわたしと縁を切れば、少なからず被害は少なくて済む。



それならわたしは、喜んでみんなから離れる。

それで彼らを、守ることができるのなら。



これ以上傷つくみんなを見たくはない。

巻き込んで何かあったらと思うだけで、背筋が凍る。茉文みたいに人質になることがあれば、って、そんな。──被害妄想みたいな、現実に。




「……言いたいことはそれだけか?」



押しつぶされて、息の根さえ途絶えそうになる。



「ええ。だから、」



「なあ、南々瀬。

……ふざけるのも大概にしろよ?」



ぞくり、と。

背筋に冷たいものが這う。それは紛れもなくいつみの声色のせいで、彼の鋭い瞳は、やっぱりわたしを逃がしてくれそうにはなかった。



「お前、俺の気持ち舐めてるだろ」



「……そんな、こと、」



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