【完】こちら王宮学園生徒会執行部
そんなことはない。
彼がどれだけわたしに愛情を注いでくれているのか、知ってる。……知っているから、なのに。
「どうしてここまで俺が急いてるか、本気で分かってないだろ。
……もちろん今まではお前の身の安全も考慮した上で導いた結果だった。でもな、」
「、」
ぐっと腕を引かれる。
その拍子に、わたしの前にかがんでいるいつみの腕の中にすっぽりとおさまって。いつもよりほんのすこし高い彼の体温に、ひどく惑わされる。
「……欲しくてしょうがねえんだよ」
耳元で。
わたしにしか聞こえないよう囁かれたそれ。
とびっきり甘いその言葉に、体温が上がる。
……そんなストレートな言葉をぶつけられたら、どうしていいのか、わからなくなる。
「もう全部俺のもんだって知ってんのに。
……それでもずっと枯渇してんのは、俺がお前のこと好きすぎてどうしようもないからだ」
「いつみ、」
「俺のこと好きなくせに別れるとか二度と言うな。
……嘘だって知っててもキツいんだよ」
肩に顔をうずめてくるいつみに、毒気を抜かれる。
だめだって思ったはずなのに、そこまで言われてしまったら、別れるとは言えなくなってしまった。
「あと、」
「ああもう、わかった……!
別れるとか言ったわたしが悪かったから!」
ぐさぐさとこれ以上抉られるのも嫌で、とっさに声を上げる。
それに満足そうに口角を上げたいつみは、わたしの身体に回していた腕をほどいた。