【完】こちら王宮学園生徒会執行部



「そういえば。

いつみお前、どうやって官僚にアポとったんだよ。珠王の名前使っても、急には難しいだろ」



一通り話が落ち着いてきた頃。

みんなでご飯を食べることになって、仲直りのためにいつみとわたしがコンビニまで買い出しに行った。そして、それを食べている最中。



夕帆先輩の発言を聞いた彼は、「ああ、」と口にして。

彼がポケットから、金色に輝くそれを取り出す。



「悪い。勝手に借りた」



金の王冠。『OQ』の刻印。

正真正銘、わたしの生徒会バッジ。今日は一度も制服を着ていないから、無いことに気づかなかった。……って、あれ?



「……なんでそれ、いつみが持ってるの?」



わたしは昨日制服で、茉文とホテルに泊まったわけで。

今日ここに来た時わたしは私服だったし、そもそも制服はまだホテルの部屋の中だ。




「……どうしてだと思う?」



「……まさか、茉文?」



首をかしげたわたしに、彼は綺麗な顔で「正解」と微笑む。

つまりわたしの制服のバッジを茉文から受け取ったことになるらしいけど、全然状況がわからない。



「正直な話をすると、だ。

俺は昨日お前がどこに泊まってたのかも知ってるし、なんならお前が宿泊してる部屋に俺は今日の明け方直接行ったからな」



「……はい?」



「わざわざ偽の財布なんて用意しなくても、お前を捕まえる手段ならいくらでもあったんだよ。

……あいつがお前に何を言ったのかは知らねえが、あいつと俺は連絡先も普通に知ってる仲だしな」



「……え」



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