【完】こちら王宮学園生徒会執行部
幼なじみコンビの会話を聞きながら、わたしもようやくほっと一息つく。
……この計画がもう二度と繰り返されないという保証はないけれど、それでも、しばらくは平和だろう。
「あ、そういえば。
わたしホテルにキャリーケース取りに行かなきゃ、明日学校いけないんだけど」
制服もスクールバッグも置きっ放しになってるし。
そう遠くないからあとで行ってこようかなと考えていたら、部屋のチャイムが鳴らされる。
「はーい」
ガチャ、と。
扉を開けば、そこにいたのはいくみさんで。
「やっほー、南々瀬ちゃん。
うちのかわいい弟と大事な彼氏はここにいる?」
今日もパンツスーツを素敵に着こなした彼女は、にこりと微笑む。
……まあ、会話の内容は突っ込みどころ満載だけれども。
「生徒会のみんなもいますよ……って。
それわたしのキャリーケースとバッグ、」
「そうそう、柴崎くんから頼まれたのよ。
彼、交流を切り上げて明日には帰るんですって」
聞かされた言葉に別段驚かなかったのは、なんとなく想像していたからだろうか。
……彼ならそうするんだろうなって、思ってた。
「見送りに行くの?」
「いえ、行きません。
……だいじょうぶです、茉文なら、」
彼の言葉を信じるのだとしたら。
見送らなくたって、連絡しなくたって、いつか会えるだろう。……運命、なのだから。
「ふふ。
南々瀬ちゃん、吹っ切れた顔してるわね」