【完】こちら王宮学園生徒会執行部
「ねえ、いつみ……」
ベッドの上で寝転んで、彼とは視線を合わせないまま。
外がもう明るいなと小窓に引かれたカーテン越しに空をぼんやりと見つめていたら、うしろから抱きしめられる。
「……ごめんね」
どうやらわたしは健全な女子高校生にはなれないらしい。
生徒会長がこんなんじゃ、風紀もあったものじゃないなと苦笑する。……さて、鋭い生徒会の面々から、どうやってキスマークを隠そうか。
「別れるって言ってごめんね。
……よく考えたら、ちゃんと謝ってなかった」
「……なんだ、そんなことか」
……"そんなこと"って。
結構重要だと思うんだけど、と振り返る。そうすれば愛おしそうに目を細めたいつみが、「ああ、そうだ」と思い出したようにつぶやいた。
本当に、別れると言ったことに対してはもう気にしていないらしい。
……まあ、十分すぎるほどに愛され尽くして、わたしももう満足しているけれど。
「お前の両親に、安全上の問題で海外に行ってもらうって話が出てたんだよ。
……でももう平気になったから、日本に残ってもらうか?」
「え、そうだったの?」
……相変わらずわたしの知らないところで色々進めていたらしい。
でもまあ、わたしの両親は自由奔放な人たちだし。もともと海外に行くという話もしてたから、きっとポジティブに考えてるだろう、と思いつつ。
「んー、詳しいことは両親に任せるわ」
答えたわたしに、いつみが「ん」と返事する。
そうやってまったりしていたら、あっという間に起床時刻を迎えてしまって。
「眠い」と言いつつ、身体を起こす。
……きっとこんな朝も、たまには悪くない。