【完】こちら王宮学園生徒会執行部
好きな気持ちだけは、昔から変わらない。
俺の人生はこの姉弟に捧げると、俺は誓える。
『今日のところは一旦預る。
……そのあとのことは自分で何とかしろ』
自分の女だろうが、と。
いつみに言われてしまったら、ぐうの音も出ない。何を言われてもその意思を一切曲げず、南々瀬ちゃんに一度は別れを切り出されてもそれを曲げてみせた。
とんでもない執念と、愛情。
その結果、ふたりは戸籍上の家族になった。
『生半可な気持ちで縛るなら、別れた方がマシだろ』
「はは、お前も大概シスコンじゃねえか……」
時間が経って生ぬるくなった琥珀の液体を喉に押し込む。
無理やり飲んだせいか、喉の奥がじわりと痛んだ。
「そうだな……考えとくよ」
『夕帆』
「お前のかわいい"お嫁さん"にも、
俺がごめんっつってた、って伝えといて」
いつみの返事を聞くまでに、電話を強制終了させる。
同じマンションに住んでいるから部屋に訪ねてこられるかも、と一瞬考えたものの、その後インターフォンが鳴ることはなく。
「………」
誰もいない、静かな部屋。
ほぼ毎日そこで過ごしているにも関わらず、なぜかひどく違和感があった。
……俺はいくみのことを、幸せにしてやれるだろうか。