【完】こちら王宮学園生徒会執行部
◆
いくみに当たってしまって、約1週間。
新学期を迎えるにあたって理事長秘書は忙しいようで、いくみから連絡が来ることもない。ひどいことを言ってしまった申し訳なさもあって、俺からも連絡できずにいた。
「……で、別れるのか」
「……いくみがそれを望むなら、しゃあねえかな」
めずらしくいつみが夕飯に誘ってきたかと思うと、新婚夫婦の部屋にはふたり分のオムライス。
彼女の姿が見当たらなくて問いかければ、「出掛けた」と一言。……出掛けた?この時間から?
「よく許可したな」
「……飯食って適当に帰ってくるんだと」
それなのに俺といつみの分の晩飯作ってから出掛けてんのか、あの子は。
……ほんと、こいつら夫婦は、お互いのこと大事にしてんな。
「いくみがめずらしく落ち込んでたぞ。
……やっと付き合えたくせに、別れるか迷ってた」
「………」
「……そんな顔すんのに、
"しゃあねえ"なんてよく言えたもんだなお前は」
じくりと胸の内を、抉られる。
……別れたい、わけじゃない。
むしろ俺はずっと、一緒にいたくて。
ようやく、隣に並べるだけの資格を得たのに。
「今日は酒禁止な」
「冷てえな」