【完】こちら王宮学園生徒会執行部
「わたしでよければ、ぜひ」
『ふふ、南々瀬ちゃんがいいのよ。
何日か日付が選べるから、また一緒に決めましょうか』
「はい。ありがとうございます」
高校時代からお世話になっていることもあって、わたしはすごくいくみさんのことを慕っているし。
いくみさんも、わたしのことを本当の妹のように気にかけてくれる。
『あ、そうそう。いつみと夕帆にはナイショね?』
「え、内緒なんですか?」
『うん。もらったチケット2人用だし。
いつも一緒に行くのもいいけど、たまには女ふたりで楽しみたいじゃない』
なるほど。確かにいくみさんとふたりで出掛けるのは楽しいし、女ふたりだからこそ話せることもあるわけで。
別にやましいことはないんだし、いつみと夕帆先輩にはお互い「近所のホテルで女子会をする」という嘘をついておくことで同意した。
「……楽しみ」
帰りの電車の中で、いくみさんからプランの詳細が送られてくる。
それに目を通してみたら、プライベートビーチの使用も可能、となっていた。
調べてみると、どうやら沖縄では一足早くゴールデンウィークに海水浴が可能らしい。
去年はいつみと夕帆先輩が卒業していたし、受験生が3人いるということもあって、夏に海やプールには行かなかった。
一昨年にみんなで八王子邸のプールで遊んだ時の水着でいいかな、なんて考えていたら。
『せっかくだから一緒に水着買いに行こうね』
心を読んだようないくみさんからのメッセージに、迷わず「行きましょう」と返信した。
……どうせなら、楽しまなきゃ損でしょ?