【完】こちら王宮学園生徒会執行部







朝7時。ピンポーンと鳴らされたチャイムの音。

くるっと振り返れば、いつみがわたしの頭を優しく撫でてくれた。



「気をつけてな。何かあったら連絡しろよ」



「ふふ、うん。ありがとういつみ。

いつみこそ、何かあったらちゃんと連絡してよ?」



「大丈夫だよ。2個下には夕帆もいるしな」



いくみさんと買い物に行って色違いの水着をそろえたり、シミラールックになるように服をそろえたり。

お互い、いつみや夕帆さんに気づかれないよう、旅行準備を進めた。そして今日は、その旅行当日。



「なら平気ね。いってきます」



ただホテルで泊まるだけにしては、やけに家を出る時間が早くなってしまう。

ということで、すこし離れたカフェへ、人気のモーニングを食べに行くという嘘をついた上でのプラン。




そっとキスをくれる彼に、同じように返して。

玄関のドアを開くと、いくみさんがニコニコしながら「おはよう」を言ってくれた。



「おはようございますいくみさん」



「朝から元気だな」



「ふふっ、今日のモーニングを楽しみにしてたんだから。

ささ、南々瀬ちゃん。売り切れないように早く行きましょう」



彼女に急かされ、靴を履いて。

すこし大きめのバッグを肩にかけると、ふたりでいつみに「いってきます」を告げて家を出た。



そのまま無言で廊下を歩き、エレベーターに乗って顔を見合わせると、どちらともなく笑ってしまう。

別にやましいことはないんだけど、やっぱりいつみに嘘をつくのってなんとなく罪悪感があるし。



それでなくても鋭いんだから、なんだか緊張した。

いつも通り見送ってくれたことを考えると、別に疑ってはいないだろう。



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