【完】こちら王宮学園生徒会執行部
「南々瀬ちゃん。せっかくだからチェックインの後に調べてくれたお店にお昼食べに行こっか?
飛行機の中で軽食は取ったけど、さすがにお腹すいちゃった」
「そうですね。
あんまりお昼遅いと、夜のバイキングに響きますし」
「そうそう。で、お昼食べたあとは海ね!」
きらきらきらきら。
いくみさんの目がこれでもかってくらいに輝いてる。
「はい。海行きましょう」
彼女は理事長秘書として、普段働いているし。
友達と遊びに行くこともあまりないらしい。それもあって、こうやって旅行に来るのなんて随分と久しいようで。
うれしそうな表情を見ていると、自然とわたしの頬もほころぶ。
くすっと笑っていると、ミラー越しに御園さんとばっちり目が合ってしまった。
「おふたりは、どういうご関係なんですか?」
「ふふっ、姉妹です。わたしの弟のお嫁さんなの」
確かに、ふたりで旅行に来ている割にわたしはいくみさんに対して敬語だし。
周りから見れば不思議なのかもしれない。
「……ご結婚されてるんですね」
「最近結婚したばっかりの新婚さんで。
でも今日は女子会だから、旦那は置いてきちゃったのよね」
「っ、いくみさん。
恥ずかしいのでそこまで言わなくていいです」
御園さんも反応に困るだろうし。
そもそも置いてきた以前に、いつみには内緒で来てるわけだし。