【完】こちら王宮学園生徒会執行部
「海~!!」
透き通るブルーを目の前に、手を伸ばしてはしゃぐいくみさん。
叫びはしないけど、わたしもその気持ちはすごくわかる。だってものすごく綺麗なんだもの。
不信感はあったものの、無事にチェックインを済ませ、予定していた沖縄料理屋さんまで御園さんに送ってもらった。
一応いくみさんが声を掛けたけれど、一緒にご飯を食べる、ということはさすがにしないようで。
美味しい料理をたっぷり堪能してから、どこかで時間をつぶして戻ってきてくれた彼の車で、再びホテルへ。
今日はこれ以上外に出る予定はないことを御園さんに告げて、部屋で着替えを済ませプライベートビーチへとやってきた。
水着一枚だとすこし肌寒いこともあって、お互いにUVカットできるパーカーを着ているけれど。
その下にいくみさんが着ているのは黒いビキニ。そしてわたしは、色違いの白。
……いくみさんって、いつみに似て色気があるし、セクシーだし。
夕帆先輩がまわりの目を気にするのも、わからなくはない。
実際、今もビーチにいる関係者であろう男性の視線を独り占めしているし。
「そこのお姉さん」
万が一にでもいつみや夕帆先輩にバレたら、怒られるんだろうな。
……でもこの綺麗な海は、どうせならいつみと一緒に見たかった。
いくみさんに連れてきてもらったのは、嬉しいし、楽しいし。
でもわたしのことを信じて特に連絡もしてこないいつみのことを思うと、さみしいなって気になったり。
でも、浮かない顔をしているわけにもいかない。
いくみさんに歩み寄ろうとしていたら、背後から声を掛けられた。
「はい? ……え、御園さん?」
振り返って、思わず驚く。
そこにいたのは、さっきまでスーツ姿でわたしたちを送迎してくれていたはずの彼。思わず声を上げたわたしに気づいて、いくみさんがすぐそばまで戻ってきた。
「あら? お仕事はもう大丈夫なの?」