【完】こちら王宮学園生徒会執行部



なぜ、と言われたら、ビーチにいるからだろうけど。

彼はTシャツこそ着ているものの、下は明らかに水着だし。いくみさんの質問に同意するように首を傾げたら、彼はにこりと笑ってみせた。



「はい、お客様から要望がなければ、あとの時間は好きに過ごしていいことになってるので。

……といってもまあ、僕の場合、」



「っ、ひゃ……!?」



御園さんの話を遮るように、思わず声を上げてしまう。

それもこれも、いきなり背後から腕が回されたからで。無意識にそれを払おうとして、勢いよく振り返れば。



「な、っ……え!? なんで!?」



「新婚早々に浮気か? "お嫁さん"」



いるはずのないいつみの姿に、抵抗の手が止まる。

え、待って。なんでいるの?え?っていうかいつみだけじゃないんだけど。夕帆先輩もいるし、椛、莉央、ルノ、ルア、呉羽、夕陽……と見知った顔が勢揃いしてる。




慌てふためくわたしと、横を見れば顔色の悪いいくみさん。

どうやら彼女も、このことに関しては知らなかったらしい。



「なんで?じゃねーよ。

どうせいくみが持ち掛けたんだろうけど、いくみと南々瀬ちゃんがふたりで外泊するのを俺らがこんなあっさり許可すると思う?」



「夕帆、」



「あとお前、この間南々瀬ちゃんとのトーク画面開きっぱなしで寝てた」



それか…! それでバレてるのか!

え?ってことは、いつみも夕帆先輩も、はじめからわたしといくみさんがココに泊まりに来ることを知っていたわけで。



「南々瀬」



腕を放してくれたいつみと向き合うけど、落とされた声に肩が揺れる。

まずい。後々バレて怒られるのは覚悟してたけど、まさか現地で怒られることになるとは……!



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