【完】こちら王宮学園生徒会執行部
「近所のホテルに宿泊する。
……で、人気のカフェにモーニング食いに行く、だったか?」
「ご、めんなさい」
「まあ、お前のことだからいくみの話に乗せられたんだろうけど。
……さすがに、嘘は良くねえな?」
指先で顎を持ち上げられ、逸らしたはずの視線が強制的に合う。
今回に関しては、何も言い訳できない。もう一度ごめんなさいと謝るわたしに、彼は一度深いため息をついたあと。
「ルノ。今回のチケット、人数さえ合ってりゃ部屋割り変えてもいいんだろ?」
「そうですね。問題ないです」
いつみの質問に冷静に答えたルノ。
……たぶんだけど、わたしたちがこの旅行に来ることを知った夕帆先輩が、ルノやルアに頼んで同じチケットを手に入れたんだろう。
八王子の息子であるふたりが、チケットを手に入れられないわけがない。
残りのメンバーについては知らないけれど、どうせだからみんなで行こうってなったんだと思う。……というか、夕陽も来れたのね。
「お前、今日俺と同じ部屋だからな」
「え、」
「当たり前だろ。いくみは夕帆の部屋だ」
それを聞いて、青ざめるわたしといくみさん。
悪いのはわたしたちだけど、そこまでしっかり怒られるの嫌なんですけど……!
「覚悟しとけよ。
しっかりあとで"お仕置き"してやる」
わたしの耳元にくちびるを寄せたいつみが、わたしにだけ聞こえるように囁く。
"お仕置き"の意味を察して赤くなるわたしを見て、彼は綺麗に口角を上げた。