【完】こちら王宮学園生徒会執行部



◆ side夕帆



「……っていうか、なんで御園が一緒にいるの?」



いくみと南々瀬ちゃんが、ふたりで旅行に行くことを、いくみが開いたまま寝ていたトーク画面で発見し。

それをいつみに共有すれば、知らないことにして現地で捕まえる、といった作戦になった。



……まあ、正直に話してたら、いつみも心配はするけどそこまで口うるさくは言わなかったと思う。

何かあったら助けられないことを考えるとついてくるつもりだったかもしれねえけど、それでももう少しふたりの時間を与えてやってたと思う。



南々瀬ちゃんといくみが仲良くしていることを、別にいつみは嫌がってるわけじゃない。

むしろ姉妹仲が良好なことは喜ばしいだろうし。



いつみが言った通り、嘘ついたのが良くなかったな、と。

しょんぼりしてるいくみの頭を撫でてたら、不意にルノが口を開いた。



「それはこっちのセリフ。

おふたり、ルノとルアと知り合いだったんですか?」



南々瀬ちゃんに話しかけていた男。

ビーチに来てみたらふたりを見つけたけど、その時に自分の嫁がナンパされてたら、そりゃいつみも迷わず南々瀬ちゃんのところに向かうわけで。




「ルノとルアは高校の後輩で、」



「ああ、なるほど」



「ルノたちこそ、知り合いだったの?」



こてん、と南々瀬ちゃんが首を傾げる。

その仕草はまだまだ女の子らしくて、確かにこの子が結婚していると言われても疑う男は多いだろうなと薄ら思った。



「御園は、ぼくたちとのはとこに当たるんだよ。

母さん側の親戚だから、あんまり、にてないんだけど」



「改めまして、速水(はやみ) 御園です。

どうやら僕の親戚がお世話になってるようで」



「あ、御園さんって名字じゃなかったのね」



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