【完】こちら王宮学園生徒会執行部
「で、すこしは反省したか?」
「……はい」
食事のあと。みんなでまだ遊ぶのかと思いきや、当然のように「じゃあおやすみ」と言われ。
いつみとわたし、夕帆先輩といくみさん、そして残りのメンバーはまだ遊ぶ気なのか同じ部屋の中。
意味無く怒られる時間を先延ばしにしようと、海から上がったあと一度シャワーを浴びたけど潮風で髪がパサつくのを理由に、もう一度お風呂に入り。
髪を乾かす間にいつみもシャワーを済ませ、ようやくふたりの時間が取れたところで、ベッドに座るわたしを立ったまま見下ろす彼。
……大人しくしておこう。
そう決めて素直に「ごめんなさい」を言うわたしを、いつみが抱き締めてくれたかと思えば。
「……もし万が一、何も知らないままお前のこと見送って、その先で何かあったら?
嫌な言い方をするなら、お前が帰ってこられないような何かに巻き込まれたら?」
「……、」
じわじわと、胸の中に広がる哀しさ。
もしいつみが同じような目に遭ったとき、わたしは「どうして教えてくれなかったの」と言ってしまうに違いない。
「それを距離の離れたところで聞かされる俺の気持ちも考えろよ」
「っ……ごめんなさい」
周囲の人間が聞いたら、"そんな大袈裟な"と思うだろうか。
けれど実際、わたしは一度この国の裏事情に巻き込まれているし、今は安全な立場であっても、そんなことがあった事実は変わらない。
「……お前のこと大事に思ってるから心配してんだよ。
まあ、いくみとのことについては多少俺らが口うるさかったせいで、あいつが言わずに行こうって言い出したのは分かるけどな」
ふるふると、首を横に振る。
腕を伸ばしていつみの背に回すと、抱き締めていた力を強めてくれて、ぴったりと身体がくっつく。
「……来てくれてありがとう」