【完】こちら王宮学園生徒会執行部
「だいすきよ」
伝えれば、さっきよりも驚いた顔をして。
それから、「俺もすきだよ」と返してくれる。
「本当に俺でいいのかなって、たまに思うんだけど」
「、」
「そうやって言われると、やっぱりうれしいね」
穏やかなその表情に嬉しくなるけれど。それよりも。
……本当に俺でいいのかなって、思ってるの?
決して恋愛経験が豊富ではないわたしが、呉羽のために何ができるのかなんて、わからない。
だけど呉羽じゃなきゃ嫌だってことは、伝わってほしい。
確かに生徒会役員はみんな見た目も優れているし、仲良しだし、非の打ちどころなんてないように感じる。
でもわたしが、呉羽のことを、選んだのは。
「あぶないよ、南々ちゃん」
繋いでいた手をぐっと引かれ、呉羽の方へと引き寄せられる。
その隣をすぐに車が通り抜けていって、「俺が車道側歩くよ」と場所を入れ替えてくれた。
「ごめんね、はじめからそうするべきだった。
エスコートするって言ったのに、配慮足りないなぁ……」
「……っふふ」
「なに笑ってるの? 南々ちゃん」
驕ることのない、その優しさ。
呉羽にしか人に与えることのできないその思いやりに、わたしはとても惹かれたのだ。