【完】こちら王宮学園生徒会執行部







「ごめん、南々ちゃん。

エスコートっていうか、振り回しちゃった……」



「全然いいわよ。誘惑が多かったわね」



「ほんと困っちゃうよ。

ひさしぶりに買い物に来たから、ついつい色んなものが気になっちゃった」



地下の食品コーナーをうろうろし、お土産の洋菓子だけではなくお惣菜なんかも気になったりして。

途中で一度中にある喫茶店で休憩したものの、ほかのフロアも散策したら、あっという間に16時半。



今日も椛が晩ごはんを作るらしいから、今帰れば家にはいるだろう。

ということで、せっかく一緒に選びに行ったのだから、と、わたしも一度お家にお邪魔することになった。



「ただいまぁ」



いくつもの紙袋を抱えた呉羽が先に家に入り、その後に続いて「お邪魔します」と家の中へ。

かわいい双子の面倒を見ていたらしい椛が、「おかえり」と「いらっしゃい」をくれた。




「呉羽から、一緒に帰ってくるって聞いてたよ~。

食べてくと思って南々ちゃんの晩ご飯の仕込みもしてある」



「え、そうなの? ありがとう」



「兄ちゃん、これお土産」



ハイ、と呉羽が椛に手渡したのは、百貨店の地下で買ってきたお惣菜。

「さんきゅ」と受け取ったそれを、晩ごはんのメニューに組み込んでくれるらしい。



「あと、これ。こっちは、プレゼント」



「気ぃ遣わなくていいって言ってんのに、」



椛が、困ったように呉羽の頭を撫でる。

それから受け取ったプレゼントのラッピングを解くと、さっきとは打って変わって満面の笑みになった。



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