【完】こちら王宮学園生徒会執行部
◆
「ごめん、南々ちゃん。
エスコートっていうか、振り回しちゃった……」
「全然いいわよ。誘惑が多かったわね」
「ほんと困っちゃうよ。
ひさしぶりに買い物に来たから、ついつい色んなものが気になっちゃった」
地下の食品コーナーをうろうろし、お土産の洋菓子だけではなくお惣菜なんかも気になったりして。
途中で一度中にある喫茶店で休憩したものの、ほかのフロアも散策したら、あっという間に16時半。
今日も椛が晩ごはんを作るらしいから、今帰れば家にはいるだろう。
ということで、せっかく一緒に選びに行ったのだから、と、わたしも一度お家にお邪魔することになった。
「ただいまぁ」
いくつもの紙袋を抱えた呉羽が先に家に入り、その後に続いて「お邪魔します」と家の中へ。
かわいい双子の面倒を見ていたらしい椛が、「おかえり」と「いらっしゃい」をくれた。
「呉羽から、一緒に帰ってくるって聞いてたよ~。
食べてくと思って南々ちゃんの晩ご飯の仕込みもしてある」
「え、そうなの? ありがとう」
「兄ちゃん、これお土産」
ハイ、と呉羽が椛に手渡したのは、百貨店の地下で買ってきたお惣菜。
「さんきゅ」と受け取ったそれを、晩ごはんのメニューに組み込んでくれるらしい。
「あと、これ。こっちは、プレゼント」
「気ぃ遣わなくていいって言ってんのに、」
椛が、困ったように呉羽の頭を撫でる。
それから受け取ったプレゼントのラッピングを解くと、さっきとは打って変わって満面の笑みになった。