【完】こちら王宮学園生徒会執行部
「すげえ嬉しい。ありがとう呉羽」
「ううん、兄ちゃん卒業と、合格おめでとう。
俺こそ、いつもありがとうね」
椛も呉羽も、お互いに嬉しそう。
微笑ましく見守っていれば晩ごはんの支度をすると言うから、手伝いを名乗り出る。
「呉羽のヤツ……
せっかくのデートなんだから南々ちゃんとふたりで過ごしゃいいのに、わざわざ帰ってくんだねえ」
テレビの前で、瑠璃ちゃんと翡翠くんの面倒を見ている呉羽。
料理の音でかき消されるボリュームの椛のつぶやきは、かわいい弟を思うお兄ちゃんでしかない。
「そんな家族思いなところが好きよ、わたしは」
呉羽とは何だか、一緒に歩んでいけているような気がする。
一歩ずつ一歩ずつ、同じ目線で。
「まあ、それはそうなんだけど。
兄ちゃんとしては、色々心配してんだよ~」
「そうなの?
デートはちゃんと、エスコートしてくれたわよ」
「ほんとに出来てんのかねえ。
……ああそうだ、休み期間中だし、呉連れて帰ってくれてもいいからな~」
「……、それは連れ帰れってこと?」
「お膳立てしてやりたくもなるだろ。
ふたりで過ごす時間なんて、なかなかねえだろうし」
「そう、ねえ」
「お節介かもしれねえけど。
そういうのも大事じゃん。たまには」