【完】こちら王宮学園生徒会執行部
「南々ちゃ、」
「呉羽にね。……もっと触れたいの」
「っ……、ずるいよ南々ちゃん」
彼の手が、わたしを抱き寄せる。
密着したお互いの身体が熱くて、でも心地よくて。
「そんな言い方されたら、手出しちゃうよ。
……ふたりきりってこの状況、わかってる?」
「逆に、この状況でそう言う意味。
……呉羽は、わかってくれないの?」
まぶしそうに細められる瞳。
抱き寄せていた手が後頭部に回って、口づけが深くなる。
「知ってると思うけど……俺経験ないよ?」
「わたしもないけど、」
「じゃあ、お互いで経験していくしかないね」
呉羽の手が、服の中に入ってくる。
経験がないって困ったように言った割には、そんな不安そうな顔を呉羽が見せることは一度もなくて。
「好きだよ南々ちゃん」
「わたしも、すき」
【その7 麻生呉羽の場合】
誰よりもピュアピュアな恋愛をしちゃうふたり。
でも経験を重ねた呉羽が恋人にだけオオカミになるのは、もう少し後の話である。