【完】こちら王宮学園生徒会執行部
【おまけ】
「ただいまぁ」
「おかえり、呉」
ふあっと欠伸しながら、玄関のドアを開ける。
リビングに足を踏み入れると、まだ朝の10時だというのに忙しく走り回っている兄ちゃんの姿。どうやら休みのうちに、できることはしてしまいたいらしい。
キッチンのシンクがピカピカに輝いてる。
何してんの?と手元を覗いてみれば、今はガスコンロのゴトクを外して汚れ落とし中。……ちょっと主夫すぎない?
「早かったな。
もっとゆっくり帰ってくるんだと思ってたわ~」
「南々ちゃんに電話がかかってきて。
急遽仕事で出るみたいだったから帰ってきたよ」
朝ごはん食べた?と聞かれて、頷く。
ようやく目がしっかり合ったかと思うと、兄ちゃんはふっと満足そうな笑みを浮かべた。
「役に立った? 俺からのプレゼント」
「っ、立った、けど」
「よかったよかった。必需品だろ?」
ニヤニヤしないでよ兄ちゃん……
南々ちゃん家に泊まりに行く際に、『これ持ってけよ』と正方形の袋を数個渡された時は本当にどうしようかと思った。いや……うん、実際"そう"なったわけだし、めちゃくちゃ役に立ったけどさ。
「昨日あげたのが残ってたの全部だから、
次からはちゃんと自分で買うんだぞ~」
「っ、わ、わかってるよ」
何なら本当はもう持ってるよ、とは言わない方がいいんだろう。
兄ちゃんの優しさが嬉しい半分、恥ずかしい半分。……男兄弟、結構大変です。
【こちら王宮学園生徒会執行部 完全完結】