【完】こちら王宮学園生徒会執行部
「い、いつみ先輩」
「ん?」
ん?じゃなくて……
いや、ついまわりが見えなくなっちゃったわたしも悪いんだけど。
「みんな、いるんですけど……」
衝動的になってしまったのが恥ずかしすぎる。
あれ、わたしさっき「頼るならわたしだけにして」みたいなこと言わなかったっけ?
「知ってるけど?」
だめだ恥ずかしい……!!
みんなに会話を聞かれたのもぽろっと甘いことを言ってしまったのも恥ずかしい……!!っていうか離してくださいいつみ先輩!!
「ふ。……真っ赤」
すこしだけ身体を離して、わたしの顔を覗いてきたいつみ先輩。
そもそも何の話してたんだっけ?と、会話するたびに逸れる内容を思い出そうしていたのに。
「っ、うるさい……」
頰の赤さが誤魔化せない。
指先でするりと撫でられれば、余計に熱を持った。
先輩の顔を見ていられなくて、彼の胸に顔を埋める。
そのせいで今度は離れがたくなってしまって彼の服をぎゅっと握ったわたしに、夕帆先輩が笑ったのが分かった。
「南々瀬ちゃんの甘えモード発動しちゃった。
こうなるとしばらく離れないんじゃない?」
「ああ。好きにさせとく。
……夕帆、お前口調もどってんぞ」