【完】こちら王宮学園生徒会執行部
あ、やべ……と、頭上でぽんぽん交わされる会話。
別に甘えモードではないんだけど、ときおり無性に甘えたくなってしまう時があって。
「どうした?」
わたしが離れずにいれば、部屋の中には徐々にわいわいと話し声がもどってくる。
夕陽が何も文句言ってこないのも珍しいな、と。ぼんやり思っていたわたしに、声を掛けてきたいつみ先輩。
「……ううん」
ふるふると首を横に振って、目を閉じる。
……別に何かあったわけではない。
「ちょっと、眠くなっちゃった」
そう思いたいだけで。
本当は、何もないわけではないんだけど。
「そうか。
……どうせこいつらしばらく帰らねえから、疲れたなら部屋で休んできてもいいぞ」
「ううん……だいじょうぶ」
やわらかく、頭を撫でてくれる手。
それに安心するくらいにはもう、ずっと。
「先輩」
「ん?」
「……すき、」
あなたのことしか見えていないから。
だから。……ねえ。嘘だなんて、言わないで。