【完】こちら王宮学園生徒会執行部



「話があるから、呼び出したんじゃねえの?」



歓迎会は表向き。

実際はただ遊ぶだけ……というのも、これまた表向きで。本当は、こっちが目的だった。



卒業してしまったいっちゃんと夕さんをふくめて集まる場は、正直もう無いと言っても過言ではない。

……いや、正確には。



「お前らも、あいつの話は知ってるだろ」



南々ちゃんを抜いて、集合するのが難しいだけ。

だから、今日じゃなきゃいけなかった。



「呉羽も、椛から聞いてるな?」



彼女に不自然さを与えずに、集まる機会。

今日を逃せば、それこそ、もう……




「……解決したようには見えてるが、水面下で政界の人間が動いてる。

正直、半ば脅してあいつと両親を解放させたからな。15年の計画を、政府は再開させたいはずだ」



「、」



……予想はしてたけど。

ただ想像するのと、いっちゃんから直接聞くのでは話の重みが変わってくる。



「まあ、施設を爆発させた際にほとんどの資料は失ってる。

それにたとえ資料があろうと、誰かが作ろうと思ってあっさり作れるようなもんじゃない」



当然だ。それこそ、完成すればいくつの命を奪うかもわからない物。

……珠王や八王子のことすらも15年間平気で騙してきた政界の、"万が一"なんて言葉はもう信用ならない。



「ただ、な」



いっちゃんの漆黒の瞳が、翳りを帯びた。



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