【完】こちら王宮学園生徒会執行部



「なるべく、外に出るときは不自然にならない程度に一緒に行動してやってくれないか。

……動きが怪しくなってきたら、家と学校間はいくみが車で送迎することになってる」



「いいけど……そんな不安定で大丈夫?

いっちゃんも学校とか仕事とか色々あるだろ?」



しかもギリギリまで南々ちゃんには黙っておいて、それに限界を感じたら伝える。

つまりそれまでは、彼女に悟られないようにしながら、ひとりになるのを防ぐ必要があるわけで。



「……1年だけだ。最悪の場合、向こうにバレるのを覚悟で完全に警護させるからな。

本当なら海外に両親と移住させてやっても良いが、今年ばかりはそういうわけにはいかない」



南々ちゃんは、俺や莉央と同じで今年受験生だ。

そうなれば、さすがに海外に行っている暇はないし。



「……1年?」



話がなんとなく形になってきたところで、ぽつりと夕陽がつぶやく。

淡い色の瞳は、まっすぐにいっちゃんを捉えていた。




「1年だけって、

卒業したら結局ナナは海外に移住すんの?」



「いや、その予定はねえよ」



「なら、なんで1年?」



確かに不自然だ。

1年経てば彼女は18歳だし高校生という縛りもなくなるから、色々と節目ではあるけれど。



だからといってそれと関係あるのか?と。

俺らの視線を浴びたいっちゃんは、落ち着き払った様子で口を開いた。



「……あいつが卒業したら、籍を入れる」



……は!?



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