【完】こちら王宮学園生徒会執行部
呆れる俺をよそに、ぎゅっと抱きついてくる南々瀬。
それを見て、本気で心配していたんだろうなと思う。いくみのことで慣れてはいるが、女の扱いっていうのは簡単じゃない。
……でもそれさえ愛おしく思えてしまうんだから、俺も相当南々瀬に甘い。
「……顔、上げろ」
胸に顔をうずめてくる南々瀬に、そう言って。
頬に手を添えてくちびるを塞げば、その瞳がおどろきに一瞬見張られる。それもつかの間で、南々瀬はゆっくりまぶたを閉ざした。
「っ……ん」
触れるだけのキスから、深くして。
南々瀬から余裕を奪っていくと、それに比例して漏れる吐息は熱っぽさと甘さを増す。
くちびるを離した頃には、俺の服を握っていた南々瀬の指の力も随分とゆるんで。
頼りなく見つめてくる瞳の奥には、どことなく色気が孕んでいた。
「……いつみ、せんぱい、」
「ん?」
指を絡めて、もう一度触れるだけのキスを落とす。
戯れるような触れ合いに満足したのか、瞳からすっかり不安を消し去った南々瀬が、俺の耳元にくちびるを寄せた。
「……つづき、」
俺とふたりきりなんだから、誰に聞かれるわけでもないのに小声で。
恥ずかしそうに、口を開く。
「して……」
誘うように濡れた瞳と、するりと首裏に回される腕。
彼女の声がさらに甘さを増すまで、そう時間はかからなかった。