【完】こちら王宮学園生徒会執行部



顔だけ振り向いて、いつみを見る。

その先で見据えた表情で、彼はめずらしく瞠目していて。思わずつられるようにぱち、と目を瞬かせる。



「お前、それ……わざとか?」



「何が? ……って、ああ、」



いまわたしが、"いつみ"って呼んだからか。

自分の思考に納得してからふふっと笑って、彼の首裏に腕を回す。見つめ合えば、それだけでたまらなくしあわせ。



「もういいかなぁって、自分の心の中で何かが吹っ切れたの。

……いつみも、わたしに先輩って呼ばれるの嫌でしょ?」



彼は出会った頃から先輩って呼ばなくていいと言ってたぐらいだし。

そう言い切ったわたしに機嫌を良くしたみたいに、彼は軽いキスをくれた。



そこから暫しわたしのお望み通り、他愛のないイチャイチャをして。

起きて身支度をしてからふたりで向かい合って朝食を食べていた時、ふとあることを思い出した。




「みんな、夕帆先輩の家にいるのよね?」



「……ああ、そうだったな」



「まだいるのかしら……?」



「さあ。

夕陽は朝から仕事だって言ってたぞ」



もういないんじゃないか?と言われる。

でも、もし夜ふかしして寝ちゃってたりしてたら大変だし。朝食をなんだか忙しなく終えて、いつみと一緒に彼の部屋を訪れる。



ピンポーン、と。

チャイムを押せば、すこしの静寂。



そして。

がちゃりと開いた扉から、夕帆先輩が顔を出した。



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