【完】こちら王宮学園生徒会執行部
ふたりの会話を意識の端で聞きつつ、疑っていたわけではないのだけれど"リナさん"の話は事実で間違いないんだろうな、と思いながら。
昔からああだこうだと言い始めたふたりに、口を開こうとしたタイミングで。
「……?」
スマホが着信を受けて震える。
誰かと思えば知らない番号で、眉間を寄せたわたしにいつみが「どうした?」と顔を向けた。
「電話、なんだけど。
相手がわかんないから、何かなって……」
「知り合いかもしれねえから、出てみろよ。
もし不審な電話だったら、変わってやるから」
「うん。……、もしもし?」
液晶を指で撫でて、スマホを耳に当てる。
相手に検討がつかないせいで思わず声を潜めたけれど。
『おっ、つながった。
相変わらず俺が妊娠しそうなくらいかわいい声だね、南々──』
聞き慣れた気持ち悪い発言に、電話を切った。
「え、どうした南々瀬ちゃん」
ぷるぷると、肩が震える。
いっそ不審な電話のほうがよかったんですけど……!間違い電話とかのほうが100倍、いや、1000倍はマシだったんですけど……!!
「俺が妊娠しそう」とか本気でやめてほしい。
普通に気持ち悪いから!変態でしかないから!!
「ばっかじゃないの……!?」
あの男、
どこからわたしの番号手に入れたんだ……!