【完】こちら王宮学園生徒会執行部



唐突なトンデモ発言と、その内容の過激さに顔を赤く染めて何も言えないわたし。

それとは対照的に、なぜか夕帆先輩は落ち着いてふっと笑みをこぼした。



「……ふは、どしたのお前。

そんなこと言い出すってことは、今日相当機嫌良くて浮かれてんだろうけど」



え? 機嫌良いから浮かれて言ってるの?

いつみは、浮かれたらしれっとこういうこと言っちゃうタイプなの?



「……まあ、確かに多少浮かれてはいるな」



「もう一生浮かれないでいただきたいです」



人前でも人前じゃなくてもそういう発言はしないでほしい。

切実なお願いだというのに、先輩ふたりはそれを聞いて笑ってるだけだし。



相手にされていないような気分になって、拗ねるように顔を背ける。

そんなわたしに「それで」と促したいつみは、慣れた手つきでわたしの髪に触れた。




「その男に何かされたのか?」



「いや、されたっていうか……

たぶんふたりともわかってないと思うので言いますけど、変態のレベルが違うんです。変態って言われることを喜ばしく思ってて、さらにその喜ばしく思っている自分自身に恍惚となるレベルの変態です」



「重度すぎるだろそれ……

なに、その変態くんに南々瀬ちゃんは好かれちゃってるって?」



「出会って初日に、

『僕は未来を見ることができるんだけど未来では君と僕の子どもが笑顔で過ごしてるよ。運命は変えちゃいけないんだ。だから結婚してください』って言われました」



「……確かにどう足掻いても変態だな」



「ですよね」



だからわたしもどう紹介して良いか迷ったんだもの。

これ以上ないくらい変態というふた文字しか似合わない。というか改めて思い返しても気持ち悪い出会い方だな。……印象が最悪過ぎる。



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