【完】こちら王宮学園生徒会執行部
ああ、でも……
彼の身体のラインって綺麗だし、なんとなくその気持ちはわからなくもないかもしれない。
細いと思うけど、胸板はしっかりしてて、やっぱり彼は"男の人"だ。
腕の筋の感じとかも、わたしはすごく好きだし……、ってちょっと待った。違う。
「南々瀬ちゃん、
いつみのことじーっと見てなに考えてた?」
これじゃあわたしも変態みたいだ。
そういう訳じゃないんですと脳内で誰に対してなのかわからない言い訳をしていたら、笑顔で沈めにかかってくる夕帆先輩。
「な、なにも……」
「ふぅん?」
まさかいつみのことを見て、そんなことを考えてたなんて、口が裂けても言えない。
なのに否定した先で目が合ったのはいつみで。
「顔、赤くなってる」
するりと頬を撫でて放たれた言葉のせいで、余計に顔が熱くなった。
顔を赤くしていつみの身体のラインとか思い出してました、なんて言ったら、本当に変態だと思われる。
ふるふると首を横に振るけど、相手は幼なじみ歴18年の仲良しコンビだ。
普段は口喧嘩するくせに、手を組む時はその18年をフル活用して阿吽の呼吸を魅せてくる。つまり。
「言えないようなこと考えてた?」
「それとも、
強引に言わされるように、狙ってるのか?」
ターゲットにした獲物は逃がさない。
ふたりからの集中攻撃にふるふる首を横に振って耐えるけど、いつみの指先がくちびるに触れて。
何もしていないのに、すごく悪いコトをしている気分になってくる。
背筋を競り上がってくるような甘い痺れにふるりと身を震わせて、もう正直に言ってしまおうと口を開きかけたとき。