【完】こちら王宮学園生徒会執行部
第2章 運命なんて、そんなもの
・灰色の美少年
◆ Side夕陽
目が覚めれば、知らない場所にいた。
……というのは気のせいで、強いて言うなら天井に見覚えがなかっただけ。
「ああ……、」
昨日歓迎会だったっけ、とまだ醒めていない頭の中でぼんやり考える。
まあ本当に歓迎会っていうのは名前だけで、ただただ騒いで遊んでた記憶しかないけど。
っていうか、ソファで寝たせいで肩や首が痛い。
起きようとソファに手をついて身体を起こせば、見据えた先でばっちり兄貴と目が合う悲劇。
ダイニングチェアに腰掛けて、呑気にコーヒーを飲んでる。時刻は8時前。
……なんであんな時間まで起きてたくせに平気な顔してんだこの人。
「何時にここ出んの?」
疑問系だったのに、なぜか感情の起伏を一切感じない平坦な話し方。
……俺の気のせいかもしれないけど。
「マネージャーに迎えに来てもらう」
「そ。シャワーは」
「……浴びる」
それだけ言ってリビングを出ると、勝手に部屋に足を踏み入れる。
とはいえなぜかある俺の部屋だから、別に勝手に入ってるわけじゃないけど。
「朝飯買ってきてやるけど。
なんか食いたいもんあんの?」
追うようにこっちに歩いてきた兄貴が、俺の部屋に顔を覗かせて。
クローゼットを開けている俺に聞いてくるから、「なんでもいい」とそっけなく返した。
反抗期と言われれば、たぶんそれまで。