【完】こちら王宮学園生徒会執行部



兄貴……は、まだ帰ってきてないし。

ほかの奴らは熟睡中だし。



……生徒会役員、揃いも揃ってダメすぎる。



わしゃわしゃとタオルで髪を粗雑に拭いながら、置いてあったスマホを手に取る。

マネージャーに兄貴のマンションまで迎えに来てと連絡を入れれば、すぐさま9時過ぎに行くと返ってきた。



生徒会役員と違ってウチのマネージャーは優秀らしい。

……まあ仕事なんだから当然だろうけど。



洗面所に行けば、前回わざわざ買ってくれたらしい俺の歯ブラシもある。

それで歯を磨いている最中にもどってきた兄貴が洗面所の隣を通るタイミングで、「コーヒーが良い」と言えば。



「………」



嫌そうな顔をしてからリビングへ入っていった。

用意してくれているのかは定かではない。……けど、たぶん用意してくれる。




絶対心の中で「人遣いの荒いクソガキ」ぐらいのことは思ってるだろうけど。

でも動いてくれるってわかってるから、俺は最低限「兄貴」って呼んでるんだと思う。



「どれ食べても良いの? これ」



「好きにしろよ」



歯を磨いてリビングにもどれば、テーブルに置かれているコンビニの袋。

そこから適当に惣菜パンを選んで食べていたら、コーヒーの入ったカップが置かれた。



……ほら、やっぱりね。



「どーも」



椛と呉羽の兄弟仲が良いのは、俺の目から見てもわかる。

母親が違うのに、それを感じさせないぐらいに仲が良い。……いや、逆、か?



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