【完】こちら王宮学園生徒会執行部
母親が違うから、仲が良いのか。
……それゆえに呉羽が色々と悩んでたことも、俺は知ってるけど。
「お前さ、」
もくもくとパンを食べながら、合間合間にコーヒーを飲んでいたら。
なぜか俺の斜め前の席に腰掛けた兄貴が、頬杖をついて。
「やっぱブラック苦手なんじゃん」
放たれた言葉に、思わずカップの中身を凝視した。
そして今更、そのコーヒーが砂糖と牛乳入りだったことに気づく。"本当"の、俺が好きなコーヒー。
「見栄張ることねえのに」
「……うるさい」
これだから、兄貴のことは嫌いだ。
「お前ブラック飲むとき眉間寄ってる」
「………」
嫌いだ、どうしようもなく。
見透かされているみたいで、気分が悪い。
成績が良くて、容姿にも恵まれて。
お世辞にもマトモな性格とは言えないけど、信頼は厚くて観察眼だって優れてる。
両親は決して口には出さなかったけれど、俺と兄貴じゃ明らかに差があるのは確かだった。
与えられた才能に、努力や実力では勝てない。
唯一似ているものが、"容姿"なんて。
……本当に、冗談じゃない。